開業したら最初に何をする?事業を軌道に乗せるために考えたいこと
開業は、ゴールではありません。
むしろ、そこからが実際の事業のスタートです。
開業前に事業計画を作り、価格を決め、集客方法を考えていても、実際に始めてみなければ分からないことはたくさんあります。
思っていたようにお客様が来ないこともあります。
反対に、想定していなかった商品やサービスに反応があることもあります。
だからこそ、開業後に大切なのは、
最初の計画どおりに進めることだけではなく、実際の結果を見ながら少しずつ修正していくことです。
最初から100%完成した事業をつくるのではなく、営業しながら、自分の事業の形を整えていく。
開業後の第一歩では、その考え方が大切だと思います。
まず、「何のために事業を始めたのか」を確認する
開業したら、まず何を確認すればいいのか。
売上。
問い合わせ件数。
利益。
お客様の数。
いろいろ考えられます。
ただ、私は、
「自分は、この事業を始めることで何を得たかったのか」
によって、最初に見るべきものも変わると思っています。
たとえば、
- 収入を増やしたかった
- 自分の仕事をつくりたかった
- 好きな仕事をしたかった
- 地域で必要とされる仕事をしたかった
- 自分の時間を自由に使いたかった
など、事業を始めた理由は人それぞれです。
もちろん、仕事として続ける以上、最終的には売上や利益も必要です。
ただ、開業直後の段階では、
自分が最初に目指していたものに、少しでも近づいているのか
という視点も持っておきたいところです。
最初の1か月は、まずやってみる
開業直後は、まだ判断するための材料がほとんどありません。
数日間、お客様が来なかった。
問い合わせが少なかった。
思ったより売れなかった。
だからといって、すぐに価格や商品、集客方法を変えてしまうと、何が良くて何が悪かったのか分からなくなります。
業種にもよりますが、私は、
まず1か月程度は、最初に決めた形で続けながら様子を見る
くらいでよいと思っています。
もちろん、明らかな問題があれば、その場で直す必要があります。
ただ、判断材料が少ないうちから、大きく方向を変える必要はありません。
この1か月は、
- 問い合わせがどのくらいあったか
- 実際に何が売れたか
- どんなお客様が来たか
- どこから自分の事業を知ったのか
- どんな質問をされたか
- どんな反応があったか
などを見ながら、材料を集める期間だと考えるとよいでしょう。
1か月たったら、一度見直してみる
ある程度の期間がたったら、最初の計画と実際の結果を比べてみます。
たとえば、
- 想定していた商品やサービスは売れたか
- 思ったほど反応のないものはなかったか
- 想定していたお客様と、実際のお客様は同じだったか
- 価格についてどんな反応があったか
- 集客方法は機能していたか
- 想定より時間や手間がかかっていないか
などを確認します。
そこで、必要なら多少の軌道修正をします。
ただし、
一度に全部を変えない方がいい
と思います。
価格も変える。
サービス内容も変える。
集客方法も変える。
営業時間も変える。
これを一度にやってしまうと、何が結果に影響したのか分からなくなります。
問題だと思うところを一つずつ見つけ、必要なところから直していく。
その方が、次の判断につながります。
お客様の要望は、まず記録しておく
開業すると、事前には想定していなかった要望が出てくることがあります。
「こんなサービスはありませんか」
「こういうこともお願いできますか」
「もう少し安くなりませんか」
「こういう商品があれば便利なのに」
こうした声は、事業を見直すうえで大切な材料になります。
ただし、一人のお客様から言われたからといって、すぐに事業内容を変える必要はありません。
私は、
まず要望をメモなどに残しておき、一定期間たってからまとめて判断する
くらいがよいと思っています。
そのうえで、
- 同じ要望が何度も出ているか
- 自分の事業で対応できるか
- 採算が合うか
- 本来の事業内容から大きく外れないか
- 今後も継続して提供できるか
などを考えます。
できることであれば、商品やサービスに反映する。
難しければ、無理に取り入れない。
お客様の声は大切ですが、
すべての要望に応えることが、良い事業になるとは限りません。
売上だけでなく、「何が売れたのか」を見る
開業後は、どうしても売上金額が気になります。
もちろん、売上は重要です。
ただ、
「今月はいくら売れたか」
だけでは、事業の状態は十分に分かりません。
たとえば、
- どの商品が売れたのか
- どのサービスが利用されたのか
- どの商品が売れ残ったのか
- 利益の大きい仕事は何だったのか
- 手間の割に利益の少ない仕事はなかったか
まで見る必要があります。
開業前に自信を持っていた商品が、実際にはあまり売れないこともあります。
反対に、あまり期待していなかったものがよく売れることもあります。
実際のお客様の反応は、事業計画だけでは分からなかったことを教えてくれます。
売上だけでなく、利益とお金の流れを見る
売上が増えていても、必ずしも事業が順調とは限りません。
仕入れや材料費、広告費、交通費、通信費など、さまざまな経費がかかります。
さらに、
- 入金される時期
- 支払いが発生する時期
- 借入金の返済
- あとから必要になる税金など
もあります。
そのため、
「売上がある」ではなく、「最終的にどれだけ利益が残っているのか」
まで確認する必要があります。
また、開業したばかりだからといって、経理を後回しにする癖はつけない方がいいと思います。
売上や経費は、早いうちから一定の方法で記録しておく。
そうしておけば、あとから事業を見直すときにも数字を使って判断できます。
「忙しい」と「順調」は同じではない
仕事が増えてくると、
「順調になってきた」
と感じることがあります。
ただし、
忙しいことと、儲かっていることは別です。
たとえば、
- 仕事の件数は多い
- 毎日忙しい
- 売上もある
- でも利益がほとんど残らない
のであれば、その状態を長く続けるのは難しくなります。
また、仕事そのものだけでなく、
- 準備
- 移動
- 片付け
- 問い合わせ対応
- 見積り
- 請求
- 経理
などにも時間がかかります。
一人や少人数で事業をしているなら、
「この仕事量を半年、一年と続けられるのか」
という視点も必要です。
3か月程度は、簡単に結論を出さない
開業後、すぐに思うような結果が出ないこともあります。
だからといって、数週間で、
「この事業はダメだ」
と判断するのは早い場合もあります。
私自身の感覚では、
まず1か月程度で一度確認し、必要なところを少し修正しながら、3か月程度は様子を見る
くらいが一つの目安になると思っています。
もちろん、これはすべての業種に共通する基準ではありません。
季節によって売上が変わる事業もあります。
契約までに時間がかかる事業もあります。
逆に、開業直後からある程度の反応がなければ厳しい業種もあります。
大切なのは、
何となく待つのではなく、途中の反応を見ながら判断することです。
開業直後の赤字だけで判断しない
開業直後は、すぐに十分な利益が出ないこともあります。
開業時には、
- 広告費
- 設備費
- 備品
- 仕入れ
- ホームページ
- 各種契約費用
など、最初にまとまったお金が出ていくこともあります。
そのため、開業直後に赤字だからといって、すぐに失敗と判断する必要はありません。
私自身の感覚では、
早くても半年、できれば1年程度は見ながら、1年後に収支が合う事業へ近づいているかを確認したい
と思っています。
ただし、
「最初だから赤字でも仕方がない」
と言い続けて、何も変えないのは違います。
その間に、
- 売上は増えているか
- 赤字幅は小さくなっているか
- リピーターは増えているか
- 問い合わせは増えているか
- 利益率は改善しているか
などを見る必要があります。
赤字でも、その先に改善の流れが見えているのか。
そこが大切です。
1年、3年という時間でも考えてみる
事業は、数日や数か月だけで結論を出すものではありません。
一方で、いつまでも結果が出ない状態を続けることもできません。
私は一つの目安として、
1年後に収支が合う事業へ近づいているかを見る。
その後も改善や修正を続けながら、3年程度は奮闘する。
そして、
3年たっても事業として成り立つ見込みが立たないのであれば、廃業や転業を含めて大きな見直しを考える。
という考え方があってもよいと思います。
もちろん、これも絶対的な基準ではありません。
自己資金がどのくらいあるのか。
借入れがあるのか。
生活費をどう確保しているのか。
業種にどの程度の時間が必要なのか。
それぞれ状況は違います。
だからこそ、
自分がどこまで続けられるのか、開業前からある程度考えておくことも必要です。
うまくいかないところは、小さく直してみる
開業後に見直せるものはたくさんあります。
たとえば、
- 価格
- 商品やサービス内容
- 営業時間
- 集客方法
- ホームページ
- チラシ
- 説明方法
- 問い合わせ方法
- 受付方法
などです。
すべてを大きく変える必要はありません。
むしろ、小さな事業だからこそ、
問題を見つけたら、小さく変えて試してみる
ことができます。
その結果が良ければ続ける。
良くなければ、また別の方法を考える。
この繰り返しで、事業の形を整えていけばよいと思います。
「軌道に乗った」は、数字でも確認する
では、どのような状態になれば、
「事業が軌道に乗った」
と言えるのでしょうか。
私は第一段階として、
毎月ある程度安定した売上があり、当面目標としていた利益を確保できるようになった状態
を一つの目安として考えます。
もちろん、
- リピーターが増える
- 口コミや紹介が増える
- 問い合わせが安定する
- 仕事の流れが固まる
といったことも重要です。
ただ、仕事である以上、
稼ぎ続けなければならない。
そして、事業を継続していかなければなりません。
どれだけ良い商品やサービスだと思っていても、利益が出なければ事業として続けることはできません。
結果として表れる数字は、
お客様から受け取った一つの評価であり、事業の通信簿でもある
と思います。
創業後の数字を確認するときは、売上だけではなく、売上原価や経費を差し引いて、最終的にどれだけ利益が残るのかを見ることが大切です。
日本政策金融公庫の「創業計画Q&A」でも、「創業当初」と「軌道に乗った後」に分けて、売上高、売上原価、経費、利益などの見通しを考える方法が紹介されています。
最初から100%完成した事業はない
開業前にどれだけ考えても、実際に始めれば予定どおりにいかないことはあります。
むしろ、それが普通だと思います。
大切なのは、
- 実際のお客様を見る
- お客様の声を記録する
- 売上を見る
- 利益を見る
- 自分の働き方を見る
- 問題があれば修正する
- また結果を見る
ということを繰り返していくことです。
最初から100%完璧にできなくても構いません。
問題が起きたら、その都度対応していく。
というより、
事業を始めた以上、自分で何とかしていかなければならない場面も出てきます。
その積み重ねによって、
「自分の事業は、こういう形なら続けられる」
というものが少しずつ見えてきます。
開業後の第一歩で必要なのは、最初の計画を頑なに守ることではありません。
実際の結果を見て、考え、必要なところを直しながら、事業を続けられる形へ近づけていくこと。
そこから、事業を続け、育てていく次の段階が始まります。
