小さな事業の集客は、何から始めればいい?
事業を始めるとき、
「どうやってお客さんを集めればいいのだろう」
と悩む人は多いと思います。
ホームページ、チラシ、SNS、看板、広告、紹介。
集客の方法はいろいろあります。
ただし、
「今はSNSが流行っているから、とりあえずSNSを始めよう」
というように、方法から先に考えるのは少し違うと思います。
何を扱っている事業なのか。
どこまでの地域をお客様とするのか。
どんな人に利用してほしいのか。
まず、そこを考えることが必要です。
そのうえで、自分のお客様に届きやすい集客方法を選んでいく。
小さな事業では、その考え方が特に大切だと思います。
何を扱う事業なのかによって、集客方法は変わる
一口に「小さな事業」といっても、事業の内容はさまざまです。
たとえば、
- 店舗で商品を販売する
- 飲食店を営業する
- お客様のところへ訪問してサービスを提供する
- 企業を相手に仕事をする
- インターネットで商品を販売する
- オンラインでサービスを提供する
などがあります。
当然、それぞれのお客様が商品やサービスを知る方法も違います。
全国へ販売できるネットショップと、近所のお客様だけを対象にする地域密着型のサービスでは、同じ集客方法を使う必要はありません。
まず考えたいのは、
「自分の事業のお客様は、どこにいるのか」
ということです。
どこまでを商圏にするのかを考える
集客を考えるとき、お客様の対象地域はとても重要です。
たとえば、訪問型のサービスであれば、遠くのお客様から依頼があっても、移動時間や交通費が大きくなれば採算が合わなくなることがあります。
反対に、インターネットを使って商品を販売するのであれば、地域を限定する必要はないかもしれません。
つまり、
- 近所だけを対象にするのか
- 市町村単位なのか
- 県内まで対応するのか
- 全国を対象にするのか
によって、選ぶ集客方法も変わってきます。
地域密着型の事業であれば、全国の人に知られることよりも、
営業できる地域の人に知ってもらうこと
の方が大切です。
SNSを使えば集客できるとは限らない
今は、Instagram、X、YouTubeなど、さまざまなSNSがあります。
無料で始められるものも多いため、開業すると、
「とりあえずSNSも始めよう」
と考えることがあります。
しかし、SNSを始めれば、それだけで集客できるわけではありません。
ネット販売や、遠方からでもお客様が訪れるような有名店であれば、SNSで広く知ってもらうことに大きな意味がある場合もあります。
一方で、地域密着型の事業では、全国にフォロワーが増えても、その人たちが実際のお客様になるとは限りません。
大切なのは、
流行している方法を使うことではなく、自分のお客様に届く方法を使うことです。
地域密着なら、昔ながらの方法が有効なこともある
インターネットが当たり前になった今でも、
- チラシ
- 地域広告
- 看板
- 店頭での案内
- 知人からの紹介
といった昔ながらの方法が有効なケースは少なくありません。
特に、営業地域が限定されている事業では、地域の人に直接届く方法の方が効果的なことがあります。
たとえば、高齢のお客様を主な対象にしているのに、
SNSだけで宣伝している。
これでは、そもそも見てもらえていない可能性があります。
反対に、若い世代を対象にする商品やサービスであれば、インターネットやSNSとの相性が良いこともあります。
お客様の年齢層や普段使っている情報手段まで考えて、集客方法を選ぶ。
ここも大切なところです。
集客方法は、一つだけでなく複数あってもいい
時間や費用に余裕があり、実際に運用できるのであれば、集客方法は一つだけに限定する必要はないと思います。
たとえば、
- ホームページ
- チラシ
- Googleマップ
- SNS
- 看板
- 知人からの紹介
など、複数の入口を持つことができます。
お客様によって、事業を知るきっかけは違います。
チラシを見て、あとからホームページを確認する人もいるでしょう。
Googleで店を探し、SNSを見てから問い合わせる人もいるかもしれません。
いくつかの方法を組み合わせることで、知ってもらえる可能性は高くなります。
ただし、
全部をやることが目的ではありません。
一人や少人数で事業をしている場合、すべてを更新し続けることは簡単ではありません。
そのため、自分のお客様に効果が高そうなものを重点的に使い、それ以外は無理のない範囲で組み合わせるくらいが現実的です。
「無料の集客」にもコストはかかっている
SNSやホームページなどには、無料で利用できるものがあります。
しかし、
お金がかからないから、コストがかからないというわけではありません。
投稿を考える時間。
写真を撮る時間。
文章を書く時間。
ホームページを更新する時間。
問い合わせに対応する時間。
こうした時間も、事業者にとっては大切なコストです。
そのため、
「無料だから続ける」
ではなく、
自分が使っている時間に見合う効果があるのか
まで考えた方がよいと思います。
広告費は、必要な経費として考える
小さな事業では、使えるお金には限りがあります。
だからといって、
「広告には一円も使わない」
と決める必要もないと思います。
お客様に知ってもらわなければ、商品やサービスがどれだけ良くても売上にはつながりません。
私自身の感覚としては、事業の状況にもよりますが、使えるのであれば、売上などに対して2~3%程度を広告・宣伝に使うという考え方があってもよいと思っています。
もちろん、これはすべての事業に共通する基準ではありません。
業種や利益率、事業規模によって適正な広告費は違います。
大切なのは、
広告費を使うこと自体ではなく、その広告が売上や問い合わせにつながっているのかを確認することです。
開業時の人脈は、使えるなら活用していい
開業したばかりの時点では、まだ実績も口コミもありません。
そのため、これまでの知人や仕事上のつながりが、最初のお客様につながることもあります。
それ自体は悪いことではありません。
ただし、どこまで活用できるかは、それまでどんな仕事をしてきたのかによって大きく違います。
前職と同じ業界で独立する人もいれば、まったく違う事業を始める人もいます。
また、退職時の契約や取り決めによっては、一定期間、競合する事業への関与などについて条件が設けられている場合もあります。
前職のお客様や取引先との関係をそのまま利用できるとは限りません。
これまでの人脈をどう使うかは、前職との関係や辞め方なども含めて慎重に考える必要があります。
人脈が多ければ、開業時の助けになる可能性は高くなります。
ただ、人脈が少ないからといって、事業ができないわけではありません。
開業後に一件ずつ仕事を積み重ね、新しいつながりを作っていくこともできます。
最終的には、口コミに勝るものはないと思う
広告、ホームページ、SNS、チラシ。
集客には、さまざまな方法があります。
それでも、私は、
最終的には口コミに勝るものはない
と思っています。
実際に商品やサービスを利用した人が、
「ここは良かった」
と誰かに伝えてくれる。
それは広告とは違う説得力があります。
ただし、開業したばかりでは口コミそのものがありません。
だからこそ最初は、広告やチラシ、ホームページ、紹介などを使って、お客様との最初の接点を作る必要があります。
そこで満足してもらえる仕事を積み重ねる。
その結果として、少しずつ口コミや紹介が増えていく。
最初の集客は、将来の口コミを作るための入口でもあると思います。
値下げだけで集客しようとしない
お客様を増やしたいとき、
「価格を下げれば来てもらえるのではないか」
と考えることがあります。
確かに、価格は商品やサービスを選ぶ大きな要素の一つです。
しかし、値下げだけで集客する方法には限界があります。
安さを求めるお客様は、さらに安いところが見つかれば、そちらへ移ることもあります。
さらに、安くすることで利益が減り、忙しいのに利益が残らない状態になれば、事業を続けることも難しくなります。
集客では、
「安いから選ばれる」以外の理由を作ること
も大切です。
集客は「何人来たか」だけで判断しない
集客をすると、つい数字だけを見たくなります。
たとえば、
- チラシを何枚配ったか
- ホームページを何人が見たか
- SNSのフォロワーが何人増えたか
- 広告が何回表示されたか
といった数字です。
もちろん、それらも判断材料になります。
しかし、事業として重要なのは、その先です。
たとえばチラシなら、
何枚配ったか → 何件問い合わせがあったか → 何件受注したか → どれだけ利益が残ったか
まで確認します。
ホームページやSNSでも同じです。
アクセスやフォロワーが増えても、実際のお客様につながらなければ、集客方法として見直す必要があるかもしれません。
集客数ではなく、最終的に事業として成果が出ているかを見る。
ここを忘れないようにしたいものです。
一度で結果が出なくても、すぐにやめない
集客方法を試して、すぐに問い合わせが来なかったからといって、その方法が必ず失敗とは限りません。
お客様が商品やサービスを知ってから、実際に利用するまでには時間がかかることもあります。
チラシを一度配った。
SNSを数回投稿した。
ホームページを公開した。
それだけで大きな反応を期待するのは難しい場合もあります。
一方で、
効果がないと分かっている方法を、何となく続けることも良くありません。
一定期間試し、結果を確認する。
そして、
- 続ける
- 内容を変える
- 別の方法を試す
- やめる
と判断していきます。
流行ではなく、自分のお客様に合った方法を選ぶ
新しい集客方法が話題になると、
「自分もやった方がいいのではないか」
と思うことがあります。
しかし、
「今、流行っているから」
という理由だけで始める必要はありません。
大切なのは、
自分のお客様が、その方法を使っているのか
ということです。
若い人を対象にする事業と、高齢者を対象にする事業では、使うべき集客方法が同じとは限りません。
全国からお客様を集める事業と、近所のお客様だけを対象にする事業も違います。
他の事業者が成功している方法が、自分の事業でも成功するとは限りません。
自分のお客様に合わせて選ぶことが必要です。
開業前の集客・販促については、J-Net21でも、顧客ターゲットの考え方から、インターネットとアナログそれぞれの集客方法、効果測定まで紹介されています。
まず、自分のお客様までの道筋を書き出してみる
集客方法を考えるときは、最初から手段を決めるのではなく、次のようなことを書き出してみると整理しやすくなります。
- 何を販売する事業なのか
- 誰がお客様なのか
- お客様はどこにいるのか
- どこまでを営業地域とするのか
- お客様の年齢層はどのくらいか
- 普段どこから情報を得ている人たちなのか
- 自分の事業を知ってもらう方法には何があるか
- その中で、自分が継続できる方法は何か
- 広告費としていくら使えるのか
- その集客方法に自分の時間をどのくらい使うのか
- 問い合わせや受注につながっているかをどう確認するのか
そのうえで、自分のお客様に届きそうなものから始めてみる。
可能であれば、いくつかの方法を組み合わせる。
そして、実際の反応を見る。
続けるもの、変えるもの、やめるものを決めながら、自分の事業に合った集客方法を見つけていく。
最初から正解が分かるわけではありません。
しかし、小さな事業だからこそ、大きな仕組みを変えなくても、試して、修正して、また試すことができます。
その積み重ねによってお客様が増え、やがて口コミや紹介につながっていく。
それが、小さな事業の集客を考える一つの基本ではないかと思います。

