事業を始める前に準備しておきたいこと|開業までに何をする?
事業を始めようと思ったとき、
「何から準備すればいいのだろう」
と迷うことがあります。
開業届、許認可、資金、店舗、商品やサービス、価格、ホームページ、名刺、集客。
やることを挙げれば、いくらでも出てきます。
ただし、開業準備は、思いついたものから順番にこなせばいいというものでもありません。
まず必要なのは、
「どんな事業を、どのような形で始めるのか」
という全体像をある程度整理しておくことです。
その全体像が見えていれば、あとは開業までに必要な準備を一つずつ進めていけばよいことになります。
まずは、事業全体の形を整理しておく
開業準備を始める前提として、事業の全体像を一通り考えておく必要があります。
たとえば、
- どんな商品やサービスを提供するのか
- 誰をお客さんにするのか
- どこで営業するのか
- どのくらいの売上を目指すのか
- 開業するためにいくら必要なのか
- どのように集客するのか
- 自分一人で行うのか、人を雇うのか
などです。
こうした内容をまとめたものが、事業計画です。
細かな数字まで最初から完璧に作る必要はありませんが、
事業計画書として全体像を一通り整理できていれば、開業準備を進めやすくなります。
反対に、全体像が決まっていないまま名刺やホームページだけを先に作っても、その後に事業内容が変われば作り直しになることがあります。
開業準備の最初に必要なのは、準備項目の順番を細かく決めることよりも、まず事業全体の形を見えるようにしておくことです。
準備の順番より、「時間がかかるもの」を先に確認する
事業計画がある程度できていれば、その後の準備については、すべてを決まった順番で行う必要はありません。
実際には、商品やサービス、価格、ホームページ、名刺、必要な備品など、並行して準備できるものも多くあります。
ただし、注意したいのが、
自分だけでは解決できないものや、結果が出るまでに時間がかかるものです。
たとえば、
- 許認可の取得
- 融資の申込み
- 店舗や事務所の契約
- 建物の建設や改装
- 設備や機械の納品
- 人材の採用
などがあります。
こうしたものは、申し込んだからといって、すぐに終わるとは限りません。
開業までに時間がかかりそうなものを早めに確認し、その期間に合わせて動くことが大切です。
許認可や資格が必要か、早めに確認する
業種によっては、事業を始めるために許可や資格が必要です。
また、営業する場所や設備について条件が定められていることもあります。
- 許可や届出が必要な業種ではないか
- 資格を持っていなければできない仕事ではないか
- 店舗や設備に条件がないか
- 自宅で営業できる事業なのか
- 自治体などへの届出が必要ではないか
特に店舗や設備が必要な事業では、「準備してから確認する」のでは遅い場合があります。
せっかく店舗を借りたり設備を整えたりしても、その状態では許可が取れないとなれば、大きな手戻りになるからです。
中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21では、許認可が必要な主な業種と届出先を確認できます。
また、自分の業種について開業準備全体を確認したい場合は、300以上の業種・職種を掲載している「業種別開業ガイド」も参考になります。
開業に必要なお金を整理する
次に考えたいのが、開業に必要なお金です。
店舗や事務所、内装、設備、機械、車両、工具、備品、仕入れ、パソコン、ホームページ、広告など、必要になるものは業種によって大きく違います。
ここで注意したいのは、
「開業するまでに必要なお金」だけを考えないことです。
開業したからといって、すぐに十分な売上が入ってくるとは限りません。
家賃、仕入れ、通信費、広告費、光熱費、人件費、借入金の返済など、開業後に必要となる資金も考えておく必要があります。
開業資金と、売上が安定するまでの運転資金。
この二つを分けて考えると、必要な資金が見えやすくなります。
自己資金で足りない場合は、融資の準備も早めに進める
必要な資金を計算した結果、自己資金だけでは足りないこともあります。
その場合は、融資を利用するかどうかを検討することになります。
融資は、申し込めばその場で資金が入るものではありません。
事業計画や必要な資金、返済の見通しなどを整理し、申込みから審査まで一定の時間が必要になります。
そのため、融資を利用する可能性があるのであれば、開業直前になってから考えるのではなく、早めに準備を始めておく必要があります。
また、借りられる金額だけで考えるのではなく、
その借入れを抱えて事業を続けていけるのか
という点も含めて判断することが大切です。
どこで、どのような形で営業するのかを決める
事業をする場所や方法も、開業準備の重要な部分です。
- 店舗を持つ
- 事務所を借りる
- 自宅で仕事をする
- お客さんのところへ訪問する
- オンラインで提供する
- 通販で商品を販売する
- レンタルスペースなどを利用する
どの方法を選ぶかによって、必要な資金や固定費は大きく変わります。
立派な店舗や事務所を持つことが、事業を始める条件ではありません。
その事業を行うために、本当に必要な営業形態なのか
を考えることが大切です。
商品やサービス、価格を決めておく
開業日までには、「何を、いくらで提供するのか」を決めておかなければなりません。
- 提供する商品やサービス
- 対応する範囲
- 料金
- 追加料金
- 材料費や送料などの扱い
- 支払い方法
内容が曖昧なまま営業を始めると、問い合わせを受けるたびに判断することになり、お客さんにも説明しにくくなります。
開業前に、少なくとも
「何を提供して、いくらいただくのか」
は説明できる状態にしておきたいところです。
お客さんから仕事を受ける仕組みをつくる
商品やサービスが決まっていても、お客さんが申し込めなければ商売は始まりません。
電話、メール、問い合わせフォーム、LINE、予約システム、店頭受付など、どの方法で問い合わせや申込みを受けるのかを決めます。
事業によっては、見積書、申込書、契約書、納品書、請求書、領収書などの書類も必要になります。
問い合わせから、仕事を受け、代金を受け取るまでの流れ
を一度確認しておくとよいでしょう。
お金を受け取る方法と、管理する方法を決める
事業を始めれば、お金の出入りも始まります。
現金、銀行振込、クレジットカード、キャッシュレス決済など、代金をどのように受け取るのかを決めておきます。
あわせて、
- 事業用の口座をどうするか
- 売上や経費をどう記録するか
- 領収書やレシートをどう保存するか
- 会計ソフトを使うか
なども考えておくと、開業後の管理が楽になります。
開業に必要な届出や手続きを確認する
事業を始めるときには、必要に応じて各種の届出や手続きを行います。
個人事業として始めるのか、法人を設立するのかによっても必要な手続きは違います。
個人で新たに事業を始める場合には、「個人事業の開業・廃業等届出書」などの税務手続きがあります。
また、青色申告を選ぶ場合や、従業員に給与を支払う場合などには、それぞれ別の届出が必要になることがあります。
提出期限も手続きによって異なるため、自分に必要なものを国税庁の最新情報で確認しておきましょう。
開業前から、お客さんに知ってもらう準備をする
開業したからといって、自動的にお客さんが来てくれるわけではありません。
屋号、名刺、チラシ、看板、ホームページ、SNS、知人への案内など、どのように事業を知ってもらうのかも考えておきます。
すべてを用意する必要はありません。
ただし、
開業したのに、その事業を誰も知らない
という状態にならないよう、最低限の情報発信は準備しておきたいところです。
分からないことは、相談できる場所を利用する
初めて事業を始めるのであれば、分からないことがあるのは当然です。
事業計画、資金、融資、許認可、補助金など、自分だけで調べても判断できないこともあります。
何から調べればよいのか分からない場合は、まず、お住まいの地域や開業予定地を管轄する商工会議所・商工会などへ相談してみるのも一つの方法です。
商工会議所や商工会では、地域の小規模事業者などを対象に経営に関する相談や支援を行っています。
最初からすべてを一人で知っている必要はありません。
自分で調べることと、必要なところで相談することを使い分けながら準備を進めていけばよいでしょう。
人とのつながりは、あるほど助けになる
開業前にできる準備は、設備や書類だけではありません。
人とのつながりも、その一つです。
知人、以前の仕事で知り合った人、取引先、地域の人、同業者など、人脈が広ければ、開業後に仕事や情報につながる可能性も広がります。
ただし、
「人脈が少ないから開業できない」
と考える必要はありません。
最初は知っている人が少なくても、開業後の仕事を一つずつ積み重ねることで、新しいつながりは増えていきます。
最終的には、自分の事業をどう続けていくかは、自分自身の行動にかかっています。
開業日は、ある程度決めておいた方が動きやすい
「時間があるときに準備しよう」
と考えているだけでは、いつまでたっても開業できないことがあります。
そのため、
ある程度の開業時期や目安を先に決め、そこから逆算して準備する
という方法は有効です。
もちろん、必要な準備期間は業種によって大きく違います。
自宅で一人で始められる仕事と、店舗を借りる仕事、建物から建設する仕事では必要な期間は同じではありません。
自分の事業に必要な準備期間を考えたうえで、開業までのスケジュールをつくることが現実的です。
「もう始めていい」と判断するのは、自分自身
開業準備をしていると、
「まだ足りないのではないか」
「もっと準備してからの方がいいのではないか」
と考えることがあります。
もちろん、お客さんに迷惑をかけるような状態で始めるべきではありません。
必要な資格や許認可がなければ、始められない仕事もあります。
しかし、それ以外について「ここまで準備すれば絶対に大丈夫」という共通の基準があるわけではありません。
一つの基準になるのは、
「お客さんに商品やサービスを提供し、その対価をいただける状態に達しているか」
ということです。
そして最終的に、「ここまで準備できたなら、もう始められる」と判断するのは自分自身です。
最初から100%完璧にはできない
どれだけ準備しても、開業してみなければ分からないことはあります。
想定していなかった問い合わせが来ることもあれば、用意したサービスが思ったほど求められないこともあります。
最初から、すべてを100%完璧にすることは難しいものです。
そして、何か問題が起きること自体も珍しいことではありません。
大切なのは、
問題を一度も起こさないことではなく、起きた問題にどう対応するか
です。
問題が起きても、何とかする。
というよりも、
事業を続けるのであれば、何とかしなければならない。
そういう場面も出てきます。
だからこそ、開業前には十分な準備をする。
そのうえで、始めたあとは実際の状況に合わせて修正していく。
その繰り返しで、少しずつ自分の事業を形にしていくことになります。
開業日から逆算して、必要なことを書き出してみる
最後に、自分の事業について必要な準備を書き出してみましょう。
- 事業計画は一通り整理できているか
- 必要な許認可や資格は確認したか
- 開業に必要な資金はいくらか
- 運転資金はどのくらい必要か
- 融資が必要か
- 店舗や事務所は必要か
- 設備や備品は何が必要か
- 商品やサービスは決まっているか
- 価格は決まっているか
- 問い合わせや申込みをどう受けるか
- 代金をどう受け取るか
- 売上や経費をどう管理するか
- 必要な届出や手続きは何か
- 開業前にどのように知ってもらうか
- 時間がかかる準備は何か
- 開業予定日はいつ頃にするか
そして、
時間がかかるものから先に動き、それ以外の準備を並行して進める。
開業準備には、すべての事業に共通する絶対的な順番があるわけではありません。
大切なのは、自分の事業に必要なことを確認し、開業予定日までに営業できる状態へ持っていくことです。
準備をしても、最初から完璧にはできません。
それでも、
お客さんに商品やサービスを提供し、その対価を受け取れる状態になった。
そう判断できたなら、そこが事業を始める一つのタイミングです。

